生命の暗号


私たちの体は、六十兆個の細胞が寄り集まってできています。ひとつがなんと、十億分の1グラム!

細胞一つひとつが小さな生きものであり、すべてに遺伝子DNAのほそーい糸が入っています。その糸をのばしてみると、驚くことに、約2メートルになります!2メートルの糸を、一人、六十兆本もっていることになります。

では、全人類、六十億人の遺伝子DNAをすべて合わせると、どのくらいの重さになると思いますか?

→答えは、米粒一個分!DNAって、想像を絶する細さなんですね。

DNAには、四種類の「塩基」という物質を組み合わせて、三十億個の文字がかかれているそうです。そこには、人が生きていくのに使う可能性のある、すべての化学反応の設計図が書き込まれています。

誰がそれを書いたのでしょう?サムシング・グレート「何か、偉大なもの」です。

その情報量は、なんと千ページの本、千冊分だそうです。

その設計図を使って、何千種類の化学反応が行われていきます。

一つの細胞の中で、一度に数千もの化学反応が同時平行で行われている、というわけ!生きること、活動すること、頭をつかうこと…すべての生命活動が、実は、化学反応なんですって!

(その化学反応の材料が、各種栄養素なのですね。DNAはちゃんとしていても、材料が足りなければ、生命活動はうまくいきません)

その化学反応を、いちいち脳で制御しているのでしょうか?

いいえ、実は、一つひとつの細胞自体に、心のような働きがあるようです。DNAの情報を使いながら、人体をうまく働かせるために、「自主的に」動いているのです。

例えば:血管の細胞は、血管の網の目をたえず修復しています。集まって血管をかたちづくる時、お互い、分裂の早さや、かたちを調節し合います。すごい協調性です!

地球上の人類六十億人が、いつもどこかでトラブっています。ところが、健康なひとの体内では、人口の一万倍の、六十兆個もの細胞が、仲良く助け合いながら、せいいっぱい自立して、生きているのですね。


村上和雄著「生命の暗号」サンマーク出版より