仲間の力

日経エンターテインメント2010年12月号の特集は、「ヒットを生み出す仲間の力」でした。同誌が行った読者調査だ、他に圧倒てきな差をつけて、「もっとも読みたい記事」に選ばれたのが、「仲間」特集だったそう。エンターテインメント界だけでなく、一般社会でも“仲間力”が様々な現象を起こしているとのことです。
 
バブル崩壊後、人々はもう一度夢を見るため、カリスマを求めました。しかし、2000年代、不況はさらに深刻化。もう「カリスマ」には頼れない。そこで我々の心をとらえているのが、お互いに力を合わせて立ち向かう「仲間」の姿なのかもしれません。
 
例えば、漫画の「ONE PEACE」は発行部数約2億部。昨年大ヒットした、映画の「ROOKIES卒業」。音楽シーンでも、EXILEやAKB48や東方神起など、グループの隆盛が続いています。
 
テレビのバラエティでも、かつては大物司会者が仕切るものが主流だったが、最近は、仲間のやり取りで見せる番組が急増中。例えば、「世界の果てまでイッテQ!」や、「嵐にしやがれ」など。
 
ちなみに嵐は、今年6つのシングル曲CDをだしたが、すべて年間ベスト10入り。アルバムも、100万枚を超えた。週にバラエティ番組を3本持ち、年末には紅白の司会も決まった。文字通り、国民的アイドルグループとなりました。
 
嵐の5人を好きな理由として、ほとんどの人が最初に挙げるのが、「仲がいい」です。けしてベタベタしているわけでもなく、暑苦しさもない。しかし、5人一緒にいるときが心底楽しそうで、輝いています。おそらくこれまで、どんなグループにもなかった、そんな「人としての関係性」こそが、嵐最大の武器になっているともいえます。
 
彼ら自身、よく口にするのが、「年々、嵐でいることが楽しくなり、嵐を好きになっている」
自分たちが出ているCMをみて、こいつら本当に楽しそうだな、と思うそう。そしてそのCMは、楽屋でいるときと変わらない、素の姿だというのです。
 
彼らのバラエティは、ほとんど台本がなく、すべて彼らの団結力と、あうんの呼吸でなされる、役割分担ですすめられます。スタッフの要求に対し、ときには頭を寄せ合って作戦会議をします。5人の中の誰かが指示を出すのではなく、5人が対等に意見を言い合って決めていくそう。
 
嵐のリーダー大野智も、「ONE PEACE」の主人公ルフィも、上から目線で仕切るタイプではありません。仲間の中で、誰よりも子供っぽかったり、一歩引いて、全体を見ていたり・・・。メンバーの中に、上下はなく、リーダーであってもときにはつっこまれたり、笑われたりする。そんな、対等で自由な関係。
 
5人それぞれの個性や役割が誰もかぶっていない。同時に、だれか一人が突出しているのではなく、全員が違う方向に同じぐらい突出している、していない。どんなに親しくても、なれ合いにはならないという意識が、仲間から鮮度を奪わない秘訣といえるそうです。