エマニュエルさん

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今、「坂本竜馬」「坂の上の雲」など、明治維新のころの話に人々の関心が集まっている気がします。おそらく日本が、いえ、世界が大きな歴史の節目を迎えているので、過去の節目の時代を先人がどう越えていったかに、自然と興味が出るのでしょう。

徳川幕府は血を流さずに江戸城を明け渡し、政権を天皇にお返しました。日本人は、「藩」という小国の寄せ集めではなく、天皇のもとの「1つの国家」としての意識と誇りを持つようになりました。
そのため、あわよくば日本を植民地にしようと、すきを伺っていた英・仏・独・露などの列強に、やられずにすみました。
それどころか、当時は世界最強と信じられていたロシアに、勝つことができたのです。

この時期に活躍したのが坂本竜馬吉田松陰の門下生たちです。無私の心、広い視野、熱い思いの若者が、日本を救いました。

ところがアフリカを見ると、どうでしょう。
痛ましいことに、部族間・民族間での争いを超えることができず、そこをうまく欧米に利用されてしまい、まんまと植民地にされました。今では形ばかり独立しているとはいえ、先進国にこっそり操られ、内部紛争、虐殺が絶えません。

アフリカに、無私の心を持つ、竜馬、松陰のような人はいないのでしょうか!?

実は全く流血なしに節目を乗り越えた、稀有な国があると最近わかりました。「ベナン共和国」という、西アフリカの小国です。
私にそれを教えてくださったのは、エマニュエル・ベベニョンさんという、ベナン人の方でした。
氏は、日本在住の翻訳家で、日本人の奥様をお持ちです。

ベナンは1960年にフランスから独立しました。その後、何度もクーデターがありましたが、政権トップの奪い合いだけで、殺し合いも内戦もありませんでした。
1975年からは「ベナン人民共和国」という社会主義の国となりましたが、15年後に血を一滴も流さずに民主主義の国に生まれ変わり、「ベナン共和国」となりました。

どのようにこの移行がなされたのかというと、10日間の「国民会議」を開き、国の政治や宗教のリーダーたちが、徹底的に対話したのだそうです。
議長になったスーザ大司教という方が、その成功の立役者でした。宗教や部族の垣根を越えて、「ベナン国民」としての立場で、リーダーシップをとったそうです。
この方こそ、ベナンの竜馬とも言える方の一人ですね!

エマニュエルさんは、ベナンと日本に共通するのは「和」のこころなのだと、熱く語っています。

「日本に3つの憲法があるのをしっていますか?」と、問われました。
日本国憲法。戦前の、大日本帝国憲法。もうひとつは、聖徳太子が作ったといわれる、「17条憲法」です。
その第一条に「“和”をもって貴しとなす。」と書かれています。

「これは、日本とベナン、そして世界の夢なんですよ!」と、エマニュエルさん。
本当にそうです。人類の夢です。聞いている私も、わくわくしました。

氏は2003年から、ベナンの和解のエッセンスを世界に伝えるための様々な活動を始めています。賛同する日本の「人間学会」、べナンやハイチ共和国などのバックアップをも受けています。

2009年には人間学会の代表団とともにネパールに赴きました。ネパールは16回の選挙を繰り返しながらも、きちんと首相を立てることができずにいました。

エマニュエルさんたちがネパールの各リーダー達に会って、ベナンと日本の話をし、対話をとおしての和解の大切さを伝えました。きっとその成果が出たのでしょう、その後行われた(奇しくも)17回目の選挙で、とうとうネパールに首相が立ったそうです!

明治維新の時、自分の利益を越えて理想に燃えた若者の純粋さが、日本を守りました。スーザ大司教の寛容さとリーダーシップが、ベナンを守りました。

この世界的な歴史の節目で、無私な理想主義の人物が出現し、たくさんの人の心を動かすことができれば・・・。そうすれば、日本を、アフリカを、そして世界を守り導くことができるでしょう。

エマニュエルさんの無私の努力が、世界に平和をもたらす一粒の種となり、花を咲かすことを願ってやみません。氏もまた、現代の竜馬なのかもしれませんね。
そして、私たちも何か手伝えるかもしれません。

いえ、もしかすると私たちも現代の竜馬になれるのかも・・・。